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電気飛行機時代が始まった!
日本では元号が平成➡令和に変わった2019年。
同年も終盤となった12月10日。
カナダのバンクーバー(Vancouver)で世界初の完全電動商用機の試験飛行が行われました。
期待されること
それは地球温暖化対策です。
航空業界が抱える問題の概要をJAXAから引用します。
今後20年間の航空輸送量は2.4倍に増加するという予測から、現在の化石燃料を使用した航空輸送を続けていくと、航空機から排出される二酸化炭素も倍増します。
航空分野においても、地球温暖化対策として、航空機から排出される二酸化炭素を低減する国際的な取り組みが進められてきました。
世界の航空輸送に関する基準の策定等を行う国際民間航空機関(ICAO)や世界の航空会社・旅行会社・旅行関連企業で構成される国際航空運送協会(IATA)などは、2050年には、2005年の二酸化炭素排出量を半減させる目標を掲げています。
こうした国際動向の中、大きな推力を得るためのファンの大直径化による燃費改善が行われてきましたが、現在の機体の設計上、ファンの大直径化での対応だけでは限界にきています。
JAXA HPより引用
なるほど、たしかに今回の飛行実験は「航空機による大気汚染の問題を将来、解消するものと期待されている。」という評価につながるのも納得できます。
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どんな会社が取り組んでいるのか?
今回の試験飛行を行ったのは、米シアトル(Seattle)を拠点に航空機用の電動モーターを開発している、オーストラリアの「マグニクス(magniX)」という企業です。
最高責任者(CEO)、ローイ・ガンザルスキー(Roei Ganzarski)氏は「この試験飛行により完全に電動化された航空機の商用化が可能だということが示された」と述べました。
マグ二クスは、この電動商用機の試験の地となったバンクーバーとスキーリゾートのウィスラー(Whistler)や周辺の島々、沿岸部の居住地域をつなぐサービスを年間50万人に提供している航空会社「ハーバー・エア(Harbour Air)」と提携しました。
そして、この技術により航空会社は大幅なコスト削減が可能になるとし、「電気飛行機時代が始まった」と述べたといわれています。
電動飛行機の機体について
この電気飛行機の機体についてみていきましょう。
機体は製造から実に62年が経過しているデハビランド・カナダ(De Havilland Canada)製のDHC-2ビーバー(DHC-2 Beaver)という6人乗りの水上機。
この機体に750馬力の完全電動モーターが組み込まれています。
操縦は、ハーバー・エアの創業者グレッグ・マクドゥガル(Greg McDougall)氏が担当しました。
マクドゥガル氏は「操縦はビーバーを飛ばすのとほとんど変わらなかったが、これは電気でパワーアップしたビーバーだ。だからややスピードを制御しながら操縦していた」とコメントしたと言います。
ハーバーエアラインの動画
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今後の実用化に向けて
約100人ほどの観客が集まった今回の飛行試験は、バンクーバー空港(Vancouver International Airport)に近いフレーザー川(Fraser River)沿いで日の出後すぐに行われ、飛行は15分間程度で終了したようです。
マグニクスは今後も電気飛行機の信頼性と安全性の確認のため試験飛行を続け、電動モーターは規制当局の承認と認可を受ける必要もあるとのこと。
また、搭載するバッテリーに関する課題もあり、試験飛行を行った型の飛行機はリチウムバッテリーで160キロしか飛行できないようです。
自動車やバイク・家庭用蓄電池などでも期待されるリチウムバッテリー。
その進化に期待しています!