先日、友人が台湾に旅行に行ったという話を聞いているときに、気になるワードが飛び出してきました。

台湾では電動のスクーターが走り回っていたよ!
すぐに感じたのは「日本は電動モビリティ分野で遅れているのでは?」という不安にも似た感覚です。
日本国内では電動のバイクをみかけることは少ないと思いますが、2018年ごろから台湾ではすでに電動化された移動手段が日常の風景になっているというのです!
自動車やバイクのメーカーは常に生き残りをかけた競争をしていますので、同じ規格でバッテリーを共有することは難しいのかもしれませんが、実現すればユーザー目線ではありがたいことでしょう。
一般家庭で使う単3電池等はどのメーカーでも同じサイズなので入手しやすいことを考えれば、電動モビリティの普及を加速させることが出来そうな気がします。
いまところ航続距離の問題もあり化石燃料並みのインフラ整備が不可欠な電動バイクですが、電動モビリティ先進国の台湾ではどのようなメーカーの車両がどのような方法で充電し走行しているのでしょう?
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Gogoro
台湾の電動スクーターを少し調べてみると、すぐにGogoroというキーワードに到達しました。
gogoroのバッテリー・ステーション
まず最初に気になっていたバッテリーの充電(交換)方法ですが、まるで自動販売機のようなバッテリーステーションで充電されたバッテリーを、運転者自らが使い切ったバッテリーと交換する方法がとられています。
このバッテリーステーションはガソリンスタンドとは異なり非常に小さなスペースで展開できるうえに、電気が引ければ比較的簡単かつ初期投資も少なく設置が可能と思われます。
gogoroのバッテリー
バッテリー2本を素早く交換するために、Gogoroの車体は非常に簡単にバッテリーの脱着が可能なつくりとなっています。
シート下にバッテリーを2本収納
工具なども不要で素早い交換が可能となっています。
Gogoro製電気スクーターの航続距離が約100kmほどといわれているので、幹線道路添いの道幅が少し広くとれるあたりに、ところどころステーションが設置されれば、航続距離の不安も解消されそうですね。
実際に、台湾ではすでに1000か所以上に設置済みと言われています。
しかも、バッテリー交換に必要な時間はほんの数秒。
日本国内でもインフラ整備が進めば爆発的に普及しそうな電動スクーターではないでしょうか?
上級グレード S1 車体構成
それでは、gogoroのスクーターを見ていきましょう。
まずはシリーズの中でも上級グレードとなるS1という車種について。
gogoro S1
一見すると普通のスクーターのようですが、調整可能なフロントサスペンションは片持ちとなっていて、タイヤ交換などの作業も効率よく出来そうです。
リアサスペンションも従来のスクーターなどと同じようなつくりとなっていることから、乗り心地も犠牲にはなっていないと思われます。
さらに、チェーンでリアタイヤを駆動させる方法をとっていたり、前後ともディスクブレーキを装備していたり、日本国内における100~125cc程度のスクーターとそん色ない装備といえるでしょう。
実際に加速性能も鍛えられていることが発表されています。
モーター出力特性
加速面では停車時から時速50kmに達するのにわずか3.7秒となっています。
gogoroによると、同程度(4ストローク125ccエンジン搭載のスクーター?)の車両であれば、3.7秒で時速40kmにしか到達できないと考えているようです。
モーターはトルクのある動力なので、日本のように狭く信号が多い市街地を機敏に走り回るのには優れているのかもしれませんね。
gogoro S1 スペック
車体寸法 : 1,730 × 690 × 1,215mm
装備重量 : 112kg
車体重量 : 94kg(バッテリー2本で18kgということですね)
最大出力 : 7,200W(5,000rpm)
最大馬力 : 9.65hp(5,000rpm)
最大トルク : 27/202Nm(0~2,250rpm)
最高速度 : 95km/h
登坂能力 : 10%(6度)70km/h
20%(11度)50km/h
30%(17度)40km/h
最大航続距離 : 125km(30km/h走行時)
車両価格 : 4,700ドル(USD)
普及グレード gogoro2 スペック
先に紹介したS1は高級装備のハイグレード車両ですが、普及価格のgogoro2シリーズも販売されています。
gogoro2プラス
2シリーズのプラスというグレードはカラーバリエーションが6色もあります。
フロントサスペンションはS1とは異なり、ごく一般的なテレスコピックサスペンションを装備していますね。
装備重量 : 122kg
最大馬力 : 8.6hp
最高速度 : 90km/h
最大航続距離 : 150km(30km/h走行時)
車両価格 : 2,950ドル(USD)
加速性能は50km/hに達するまで4.3秒となっているので、ハイグレードのS1より0.6秒遅れで時速50kmに到達することになります。
S1に比べて最高速度も5km/h低いのですが、そのぶん航続距離が約20%伸びているのでデイリーユースに向けたセッティングになっているのでしょう。
そして価格は大幅に低く抑えられたことで、手の届く価格帯の車両として認識されたと感じます。
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実は日本でも乗れる場所があった!
ここからは2019年2月現在の情報となります。
沖縄県の石垣島という場所にgogoroをレンタルしている組織があります。
株式会社 e-SHARE 石垣 という会社で、住友商事(株)が100%出資して立ち上げた組織です。
2017年の12月に会社を設立し、2018年から実際に車両のレンタルを開始しています。
もちろんバッテリーステーションも数か所に設置済みとなっているので、石垣島島内の観光なら安心して観光できるということです。
石垣島のバッテリーステーションなど
貸出されている車両は写真から推測すると普及グレードのgogoro2プラスだと思います。
レンタル料金なども掲載されていました。
石垣島gogoroレンタル料金表 2019年2月現在
しかも、石垣島の充電ステーションのうち2か所については石垣市の協力のもとで太陽光発電システムを併設し、八重山諸島・石垣島のエコアイランド化にも貢献しているようです。
最後に
ふとした会話から浮上した電動バイクへの興味でしたが、世界はすでに次の時代へと動きだしていることがわかりました。
発売当初はパナソニック製のバッテリーを搭載していたようなので、同様の方法を用いた日本国内での電動モビリティの展開は難しくないと思います。
あとは、各車両メーカーが共存の道を選ぶか否か?といったところでしょうか?
実際にヤマハとは2018年の9月に協業の検討を開始したと発表がありました。
自動車よりもバイクのほうが電動化の広がりは早そうな気もしますね。
これからが楽しみな台湾発の電動モビリティgogoroを紹介いたしました。