ホンダの名車 NSR50/80の歴史を振り返る

HONDA(ホンダ)

こんにちは。

NSR それは、ホンダの2ストロークエンジン搭載レーサーレプリカシリーズ車に与えられるもので、NEW SPRINTER RACINGの略と言われています。

初期型 NSR50

日本国内が空前のバイクブームに沸いていた1980年代後半、ワークスレーサーの3/4サイズで発売された本気のミニレプリカNSR50とは、いったいどのようなバイクなのでしょう?

簡易諸元

エンジン 水冷2ストローク単気筒 ピストンリードバルブ

最高出力 7.2馬力

最大トルク 0.65kgf・m

乾燥重量 78kg

タイヤサイズ F100/90-12 R120/80-12



1987年に発売されたNSR50/80ですが、当時のミニレプリカブームを作り出したのは、実は1986年に登場したスズキのGAGやヤマハのYSR50/80でした。

SUZUKI GAG

YAMAHA YSR50

ビジネスモデルであるバーディの4ストロークエンジンを流用したGAGや、RX50ベースの空冷エンジンを搭載したYSRは、外観こそレーサーレプリカ然としたものでしたが、趣旨としては公道でレーサーの雰囲気を楽しむ為の存在と考えられていました。

そこにホンダが投入したNSR50/80は、本物のレーサーNSR500の3/4スケール版として開発され、走りにおいてGAGやYSRとは比べ物にならない性能を与えられました。

1985年 NSR500(左)とRS250RW(右)

50ccながら最高時速は100km/hにせまるエンジン性能はもちろんのこと、コーナーリングにおいても妥協のない仕上がりで、ミニバイクレースではNSRでなければ勝てない状況を作り出しました。

私もGAGとYSR80を所有していたことがありますが、GAGは本当にギャグそのももで、YSR80ですらNSR50には全く歯が立たないような仕上がりでした。

NSR50の歴史

1987年~1988年、初期型の特徴は3本スポークのホイールと鉄製のトップブリッジ、そしてリアホイール中心部あたりに伸びているダウンタイプのチャンバー。

このダウンチャンバーは性能面で人気があり、後期型に取り付けるユーザーも多いといいます。

ただ、サーキットでは右コーナーのバンク角を稼げないために膨張室が削れてしまった車体も多かったと思います。

1988年式

1989年~1992年、主な変更点は外観とサスペンション。

特にサスペンションの強化によってコーナーリング性能は格段に向上したといわれています。

また、この年式からはチャンバーがアップタイプへと変更され、外観ではヘッドライト周囲がシャープになっています。

1990年型

1993年~1994年、カウル類は前のモデルを引き継いでいますが、ホイールが3本スポークから6本スポークへと変更されました。

ミニバイクレースでは強度面から3本スポークタイプを好むユーザーが多いようですが、後に発売されたXR50/100モタードでは6本ホイールが採用されています。

1993年型

1995年、最終型となるこの年式では前後サスペンションの大幅な改良がおこなわれ、フロントサスペンションは設計変更、リアサスペンションはイニシャル調整が可能となりました。

この年式のリアサスは非常に評価が高く、レース車両として用いる場合にも好んで使われるほどの人気があります。

トップブリッジはアルミ製、フレームも剛性が強化され、リンク式のシフトペダルやスイングアームの軸受け(ゴムブッシュ→ベアリング)、シートカウルの形状などにも変更をうけた1995年式のNSR50は、フルモデルチェンジと言っても過言ではないくらいの変貌ぶりでした。

最終型 レプソルカラー

実はそこには理由があって、当時のNSR50独り勝ち状態に真っ向勝負を挑んでヤマハが市場に投入したTZM50Rの存在があったからだと考えられます。

YAMAHA TZM50R



NSR50とTZM50Rはミニバイクレースでしのぎを削った12インチレーサーレプリカでしたが、最終的は1998年~1999年で両者とも生産終了となっています。

純レーサー NSR-miniの登場

公道仕様のNSR50(型式 AC10)から保安部品を取り除き電装系を改良、2ストオイルも分離給油→混合給油、ラジエターの大型化、前後サスペンションの大幅改良などをうけて、型式もRS50となって登場したのが純レース車両のNSR-miniです。

HONDA NSR-mini

ベースとなったのは1995年以降の最終モデルでしたが、ホイールは前期型の3本スポークを採用しています。

サスペンションは、フロントのイニシャル調整が可能となり、さらにダンパーの減衰力を高められています。

リアは減衰力調整が可能な別体タンク型が採用され、スプリングもオプションながらハードとソフトが用意されるなど、レース車両としてコーナーリング性能の微調整が可能となりました。

電装系では依然としてAC10の1994年以前型の評価が高く、NSR-miniであっても交換するユーザーが大半を占めていたことから、2002年モデルからは標準でACG=1994年型、イグナイター=NSR80用へと仕様変更がなされています。

このホンダの対応力は素晴らしく、多くのレースファンの心をとらえたことでしょう。

直線の短いカートコースでのレース開催が多いことを考慮してか、エンジンの冷却性能も大型ラジエター搭載によって大幅に強化されています。

冬場のレースでは冷えすぎるほどの効果があることから、ガムテープなどでラジエターの一部分を覆って対応する必要があるほどです。

このように1997年の搭乗以降、全国各地のミニバイクレースを牽引してきたNSR&NSR-miniでしたが、バイクの4ストローク化によるNSF100の普及によって、2009年の春モデルが最終生産となりました。

NSF100

バイクブーム全盛期に登場して、当時の若きライダーたちの技術向上に一役も二役もかったと思われるNSR50。

今はNSF100にその意思は引き継がれていると感じます。

これからの世代の人々にも敷居の低いこのクラスでバイクに親しんでいただき、より深くバイクの持つ楽しさを味わっていただきたいと思います。

TOP PAGE へ戻る ←



タイトルとURLをコピーしました