DAX HONDA の歴史
昨今の不安定要素たっぷりな世界情勢の中にあって、日本国内でも非常に優れた移動手段として再び注目を集めることになってきた125cc前後の2輪車たち。
日本では~49ccまでを原付1種、50cc~124ccまでを原付2種と分類しています。
原付2種は小型2輪免許が必要になりますが、市街地走行では原付1種に対する規制から解放され、より快適かつ安全に走行することが可能となります。
そんな原付2種(ナンバープレートが黄色orピンク)と呼ばれるカテゴリーの中から、今回ピックアップしたのはホンダのDAX(ダックス)です。
DAX HONDA ST70
かなり熱烈なファンも多いバイクなので今更私がどうこう言うまでもありませんが、2021年に125ccで復活しそうな雰囲気なので、改めてDAXの歴史を振り返ってみたいと思います。
ダックス(DAX)の歴史
1969年8月登場のダックスは、モンキーと同じように車に積めるレジャーバイクがコンセプトです。
排気量50ccのST50、72ccのST70の2種類がラインナップされ、横に倒しても漏れないガソリンタンクや脱着可能な前輪などモンキー同様のコンセプトですが、タイヤサイズは10インチを採用しています。
当時の車は今のようなミニバンタイプが普及していなかったこともあり、家庭にある4輪車のほとんどが車高の低い4ドアセダンでした。
そのような時代背景の中で生まれてきたダックスは、小柄で低重心・長いホイールベースなどが特徴的で、胴長短足なその姿が猟犬ダックスフントに似ていることからその名前がついたといわれています。
今でこそダックス(DAX)と呼ばれていますが、発売当初の正式名称はダックスホンダ(DAX HONDA)で、1995年に発売された復刻版のA-AB26型のみ正式名称がダックスになっています。
1969年9月には、北米向けに排気量を70ccに拡大したST70を輸出開始。同時に現地生産で海外向け70ccモデルの生産が行われていたようです。
モンキー同様、車に積めるレジャーバイクがコンセプトであるDAXは、折りたためるハンドル・3速自動遠心クラッチ・4ストSOHCエンジン・横にしてもガソリンが漏れてこないガソリンタンクなどモンキー同様の装備を与えられていましたが、フレームはTボーン・フロントフォークはテレスコピック・ホイールは10インチ・70ccモデルの存在など、モンキーよりやや大柄な印象のバイクに仕上がっています。
DAXホンダ ST50とST70には、それぞれST50エクスポートと、ST70エクスポートというモデルが存在しています。このエクスポートは、全長を1.510m→1.495mに短縮、最低地上高を130mm→165mmに変更したモデルでした。
ちなみに当時の新車価格は¥66,000-です。いまの時代にこの金額で販売すれば一大ブームを巻き起こしそうですね。
1971年にはST50Ⅳ ST70Ⅳが追加されました。
変更点はトランスミッションの3段→4段化・クラッチを自動遠心クラッチ→マニュアルクラッチ化・タイヤ幅を3.50→4.00に拡大・ハンドルを折り畳み式からブレースバー付き固定タイプへ強化・ハンドルロックを装備・全長を1.565mに延長などで、当時の価格は50ccモデルが¥72,000-、 70ccモデルが¥75,000-だっそうです。
1972年のST50 SPORTⅡとST70 SPORTⅡでは、フロントのショックアブソーバーにオイルダンバーを装備して走行性能を高めたり、クランクケースにプロテクターを装着したりとスポーツ走行を視野にいれた変更が施されています。
たしかにST70になると、モンキーとは比べものにならない走行性能なので、これくらいは必要だったのかもしれません。SPORTⅡの価格は50ccモデルが¥79,000- 、70ccモデルが¥82,000-でした。
1976年に入るとST50 ST70を廃止し、ST50とST70共に外観に小変更を加えたⅥとⅦを投入します。
この違いはⅥが自動遠心クラッチの3速、Ⅶがマニュアルクラッチの4速モデルです。
このころから新車価格が100,000-を超えてきました。
Ⅵの50ccモデルが¥101,000-、70ccモデルが¥104,000-。
Ⅶの50ccモデルが¥109,000-、70ccモデルが¥112,000-となっています。
1979年にはフルモデルチェンジを行い、それまでのスタイルを一新。
チョッパースタイルでハイバックシートのアメリカンなDAXへと生まれ変わりました。
アメリカンなDAX
このチョッパースタイルのDAXは、ST50 CがⅥと同じ自動遠心クラッチの3速、ST50 MがⅦと同じマニュアルクラッチの4速モデルで当時の新車価格は ST50 Cが¥115,000-、ST50 Mが¥120,000-となりました。
1969年発売当初の約2倍の金額になっていることに、当時の高度経済成長を感じずにはいられません。
このモデルは1981年で国内での販売を終了しています。
その後、14年が経過した1995年に、ST50の復刻モデルとしてA-AB26が¥198,000-で発売されました。
エンジンは50ccの3速自動遠心クラッチでしたが、電装を12V化・オートカムチェーンテンショナー採用・メンテナンスフリーの密閉型バッテリーを搭載・CDI点火の採用などの変更を受けましたが、排ガス規制にからんで1999年に生産終了となっています。
派生モデル
1972年にカブ系の90ccエンジンを搭載したマイティダックス ST90や、1973年に発売され名前こそDAXと付いていますが、カブ系の横型エンジンではなくCB系の縦型エンジンを搭載したNAUTY DAX(ノーティダックス)などがDAXの派生モデルとして知られています。
まずはマイティダックス ST90。
マイティダックス ホンダ ST90
前後14インチのスポークホイール、テレスコピック・フロントフォーク、カブ系90ccエンジンを搭載し、アップマフラーとの組み合わせで悪路走破性が高められていますね。
個人的に最も好きなスタイルのDAXです。
次は、シリーズの異端児??
縦型エンジン搭載のノーティダックス ホンダ CY50。
1973 ノーティダックス ホンダ CY50
後のエイプやXRなどにも搭載されるCB系の縦型エンジンを搭載し、基本性能の高さが特徴。
不整地での操作性と安定性を高め、ファットな小径タイヤでビーチクルーザとしても使えそうな1台です。
発売当時は¥98,000という価格でした!
1976 ノーティダックス ホンダ CY50-1
時代の流れにあわせて様々な改良が施されてきたDAXでしたが、1999年の復刻版生産終了をもって残念ながら生産&販売を終了しています。